産業の分類一覧は?
産業の分類一覧:大分類20区分と3つの産業区分
産業の分類一覧を正しく理解することは、日本の経済構造や市場環境を正確に分析するために極めて重要です。公的な区分基準を把握しておかないと、企業の業種を誤って判断し、ビジネスの戦略立案や統計データの活用で損失を被るリスクがあります。正確な区分方法を学びましょう。
産業の分類一覧とは?基本となる3つの大区分
産業の分類一覧を理解する上で、最も直粡的で広く使われているのが「第一次産業」「第二次産業」「第三次産業」という3つの大区分です。私たちの生活やビジネスの根底を支える経済活動は、このいずれかの区分に必ず分類される仕組みになっています。
各区分の具体的な内容と、よく知られている業種の例は以下の通りです。まず、第一次産業は自然界から直接恵みを採取する産業で、農業や林業、漁業がこれに該当します。次に、第二次産業はそれらの原材料を加工して新たな製品を作り出す産業であり、製造業や建設業、鉱業が代表例です。最後の第三次産業は、物を作らずにサービスを提供する産業全般を指し、小売業や飲食業、情報通信業、医療福祉など、現代社会の多種多様なビジネスがここに集まっています。
私は以前、企業のセグメント分析を始めたばかりの頃、ソフトウェア開発企業がどこに分類されるのか迷った経験があります。形のある製品を作っているため、一見すると第二次産業の製造業のように思えます。しかし、実際は第三次産業の情報通信業に分類されます。このように、現代のビジネスは目に見えるモノだけでなく、無形の価値やサービスを提供する割合が非常に高くなっています。
日本の公的基準「日本標準産業分類」大分類20区分一覧
日本における行政手続きや統計調査、ハローワークでの求人などで公式に使われているのが、総務省 日本標準産業分類です。この分類体系では、すべての経済活動がAからTまでのアルファベットが割り当てられた「20の大分類」に細かく区分されています。
公式な統計結果を表示するための基準として、全20区分の大分類一覧は以下のように整理されています。 A 農業、林業: 耕種農業や畜産業、素材生産などの林業経済活動 B 漁業: 海洋や内水面での漁業、および水産養殖業 C 鉱業、採石業、砂利採取業: 石炭や原油の採取、建築用石材・砂利の掘削など D 建設業: 土木工事、建築工事、電気・管工事などの設備工事全般 E 製造業: 食料品、繊維、化学、機械、電子部品などの製造加工を行う事業所 F 電気・ガス・熱供給・水道業: 各種ライフラインの供給および処理事業 G 情報通信業: 映像・音声制作、情報サービス(ソフトウェアなど)、通信・放送業 H 運輸業、郵便業: 鉄道、道路旅客・貨物、水運、航空、倉庫、郵便関連サービス I 卸売業、小売業: 仕入れた商品の卸売、および一般消費者への小売販売 J 金融業、保険業: 銀行、貸金業、証券業、保険・年金関連サービス K 不動産業、物品賃貸業: 不動産の売買・賃貸・管理、および自動車や機械のレンタル L 学術研究、専門・技術サービス業: 法律・税務事務所、デザイン、広告、研究機関など M 宿泊業、飲食サービス業: ホテルや旅館、一般的な飲食店や持ち帰りフードサービス N 生活関連サービス業、娯楽業: 洗濯、理容・美容、旅行業、映画館や遊園地など O 教育、学習支援業: 学校教育のほか、学習塾や各種習い事のスクール P 医療、福祉: 病院や診療所、介護保険事業や児童福祉などの社会福祉サービス Q 複合サービス事業: 郵便局や農協(JA)など、複数の大分類にまたがる事業を一体的に行う組織 R サービス業(他に分類されないもの): 廃棄物処理、自動車整備、職業紹介、宗教など S 公務(他に分類されるものを除く): 国会や裁判所、地方自治体などの本来の行政事務を行う官公署 T 分類不能の産業: 上記のいずれの項目にも該当しない、または特定ができない経済活動
ビジネスの現場では「業種」と「職種」が混同されがちですが、業種分類の一覧はあくまで「事業所がどのような経済活動を行っているか(業種)」で決まります。たとえば、製造業の会社で経理の仕事(職種)をしている人の産業分類は、公務や専門サービスではなく、あくまで「E 製造業」となります。ハローワークなどで各種届出を書く際は、この点に注意が必要です。
令和5年改定(2024年4月施行)の重要な変更点
日本標準産業分類 一覧は、社会経済の変化や新しいビジネスの誕生に合わせて定期的に見直されています。直近では令和5年7月に第14回改定が告示され、令和6年4月1日から新しい分類基準が全面的に施行されています。
今回の改定では、産業分類 大分類 20区分そのものに変更はありませんでしたが、中分類や小分類、細分類のレイヤーで社会情勢を反映した見直しが行われました。具体的には、コロナ禍以降の産業動向や、世界的な脱炭素への取り組み、デジタル化の進展に対応するため、小分類で7項目、細分類で19項目が新設されています。項目名が変更された業種もあるため、類似業種株価を算定する財務手続きや、消費税の簡易課税制度における業種判定を扱う実務担当者は注意を払う必要があります。
企業の実務、特に非上場株式の評価において類似業種の数値を用いる際、産業分類のコードが1つずれるだけで算出される株価が大きく変わってしまうリスクがあります。実際、過去の改定の際にも、新聞・出版業がそれまでの製造業から非製造業へ区分を移されたことで、集計データの接続性に影響が出たケースがありました。今回の改定でも、自社のメイン事業が新しい細分類の定義に引っかかっていないか、新旧対照表を一度チェックしておくのが賢明です。
迷いやすい業種の「逆引き」早見実例集
実際に自分の会社や取引先が「全20区分のどこに該当するのか」は、名称のイメージだけでは判断が難しいケースが多々あります。ここでは、ハローワークの届出や行政手続きの際に多くの人が迷いやすい代表的な実例を、正しい大分類とともにまとめました。
第一次産業 第二次産業 第三次産業 例を含め、よくある逆引きパターンの実例は以下の通りです。ネットショップを運営する場合、自社で倉庫を持って発送していても、本質的な活動は仕入れた商品の販売であるため「I 卸売業、小売業」となります。また、システム開発やスマホアプリの制作を行うIT企業は「G 情報通信業」に該当します。エステサロンやネイルサロン、マッサージ店などは、美容やリラクゼーションという生活に密着したサービスであるため「N 生活関連サービス業、娯楽業」に位置づけられます。さらに、個人の税理士事務所や経営コンサルタント、デザイン会社などは「L 学術研究、専門・技術サービス業」に分類されるルールとなっています。
ここで1つ、多くの人が見落としがちな落とし穴があります。それは「1つの会社が複数の異なるビジネスを展開している場合」の判定方法です。複数の事業を行っている事業所では、原則として過去1年間の収入額や販売額が最も多い、つまり「一番稼いでいる経済活動」を基準にして1つの産業分類を決定することになっています。サブ事業のイメージに引っ張られて間違ったコードを申請しないよう、数字ベースでの主副判定が必要です。
「3区分(3次産業)」と「日本標準産業分類」の違い
産業を分類する際によく使われる2つの体系ですが、その目的や構造には明確な違いがあります。実務やリサーチで使い分けるための特徴を比較しました。3大区分(第一次・第二次・第三次産業)
- 全体を3つの大きなグループに分けるのみで、詳細なコードはない
- 行政手続きや求人票などの具体的な業種指定には使えない
- 経済の発展段階の分析や、大枠での産業構造の国際比較など
日本標準産業分類(総務省基準) ⭐
- 大分類(20項目)、中分類、小分類、細分類の4段階で網羅的に規定
- すべての事業所に固有の分類コードを適用して明確に識別できる
- 各種公的統計の基準、ハローワークの手続き、税法上の業種判定など
実務での業種判定に苦戦した製造小売スタートアップの事例
都内でオリジナルの健康食品を自社企画し、オンラインショップ限定で販売するスタートアップ企業を運営する佐藤さんは、法人設立後の行政手続きやハローワークの各種登録の際、自社の「産業分類」を何にすべきか分からず頭を抱えていました。自社でレシピを企画しているため製造業なのか、それともネット通販だから小売業なのか、公的な定義に当てはめるのが非常に困難だったのです。
佐藤さんは最初に、ネットで見た簡易的な情報をもとに、なんとなく「製造業」としてハローワークの求人や手続きの書類を提出しようとしました。しかし、管轄の窓口で詳しい事業実態の確認を求められた際、実際の製造工程自体はすべて外部の専門工場に委託(OEM)しているという点に摩擦が生じ、そのままの分類コードでは受理されそうにない状況に陥ってしまいました。
窓口担当者から「日本標準産業分類の定義では、原材料を自社で仕入れて自社の所有する設備で加工していない限り、製造業には認定できない」という原則を説明され、佐藤さんは大きな気づきを得ました。自社がやっている本質的な活動は、企画した商品を外注して仕入れ、それを消費者に直接届ける「小売活動」であると理解したのです。
佐藤さんは自社の売上の100%がECサイト経由の小売によるものであることを踏まえ、産業分類を「I 卸売業、小売業」のなかの織物・衣服・身の回り品小売業等に紐づく無店舗小売業に修正しました。結果として、その後の消費税の簡易課税制度における業種区分(第4種事業)の判定や、行政への統計報告も迷うことなくスムーズに進めることができるようになり、実務の遅延を回避できました。
補足的な質問
自社の正しい産業分類コードはどうやって調べればよいですか?
政府統計の総合窓口であるe-Statに用意されている「統計分類・用語の検索」システムを使うのが最も確実です。検索ボックスに「ソフトウェア開発」や「カフェ」などのキーワードを入力することで、該当する可能性のある大分類・中分類・小分類の候補と分類番号がリストアップされます。
1つの事業所で複数の異なる事業を行っている場合は、どれを選べばよいですか?
複数の経済活動を行っている場合は、原則として過去1年間における「収入額」または「販売額」が最も多い主な事業を1つ特定し、それを基準に産業分類を決定します。収入での判定が難しい場合は、その事業に従事する従業員数や設備の規模などを考慮して決定します。
産業分類と、証券コード協議会が定める「33業種」などの業界分類は同じものですか?
異なります。日本標準産業分類はすべての経済活動を対象とした国(総務省)の基準ですが、株式市場で使われる「33業種」や「17業種」の分類は、上場企業の投資利便性を高めるために証券コード協議会が独自に定めている民間・市場向けの分類体系です。
最終評価
公的な実務には「日本標準産業分類」の20区分を使う行政手続きやハローワーク、税務上の業種判定には、3大区分(1次・2次・3次)ではなく、総務省が定めるAからTまでの20の大分類コードを使用する必要があります。
産業分類は「職種」ではなく「事業所の主たる経済活動」で決まる会社内でどんな仕事をしているかではなく、その事業所全体が過去1年間で最も多くの収入を得ている事業が何かを基準にして、1つの分類コードが割り当てられます。
令和5年改定による下位レイヤーの変更に注意する2024年4月から新しい分類基準が施行されており、大分類の枠組みは変わりませんが、社会情勢を反映して小分類が7項目、細分類が19項目新設されているため最新情報の確認が必要です。
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